投資の教科書

株式投資20年の投資家が語る 絶対に知っておくべき投資の真実

*

シャープ、ゾンビ化決定

 


今回はさすがに登場しなくちゃだめでしょ、シャープウォッチャー。

気が短いので、先に言っておく。
「なるほど、これでシャープの倒産はないな」

で、勘違いしないようにこれも先に言っておくが、
「倒産がなくなったというのは、これでシャープの業績がよくなるとか、経営が立て直せるという意味ではない。」

言うまでもないが、これは今日発表された「シャープとサムスン資本提携」のことだ。

余談だが、今朝このニュースが出た後、例によってシャープ広報は速攻否定。
ただ、いつもとはリリースの文面がちょっと違った。

これまで→「当社が発表したものではなく、また決定した事実もありません。」
今回→「当社が発表したものではありません。」だけ。

おー、じゃあ決定した事実はあるのかも。ってことでこれは本当かもね。
・・・ってとこまで午前中に書いていたら、午後になって提携を正式に発表した。

さて、本題に入るとして、最初は
「なんでこう、一番組んじゃいけない人と組んじゃうかなー」
「サムスンも何でシャープなんて買うかなー、アップル怒らせるだけじゃん」
と思ったのだが、1つ肝心なことを忘れていた。よくよく考えたらシャープは問題を根本的に解決する気はハナっからなかったね。だからカネさえ出してくれれば相手なんて誰でもよかったのだ。

サムスンについては正式発表があるまではなぜ出資するか理解できなかったのだが、シャープの発表内容を見て納得した。

順番に説明していこう。まず、なぜ最初にシャープとサムスンは組んではいけないと思ったのか。

アップルに液晶を売ること前提でシャープの立場から話をする。

サムスンとシャープがくっつくことで事実上液晶パネルが1社独占になると、サムスンがアップルとの交渉で有利になる。今までのようにアップル様の言い値ではなくサムスンは交渉ができるようになる。

しかしあくまでも交渉だ。一方的に高く買え、とは言わない。しかもアップル様がそんなの呑むわけがない。で、安く出すのはシャープの液晶、ウチのは高めにしてね、トータルで安くなればいいよね、ってな具合に話がまとまる。つまり、シャープは交渉の材料に使われるだけで、しかもシャープの液晶はサムスンに安く買い叩かれる。

次にサムスンの立場。サムスンが液晶1社独占になって一方的に得かといえばそうでもない。今アップルと交渉ができる、なんて話をしたが、本当は交渉なんてもんじゃない。1社独占になるってことはアップルとガチ敵対しますぜ、というサインになる。わざわざそんなことする意味があるか。サムスンとアップルが特許訴訟で揉めているからといって、そこまで喧嘩をする理由はない。

シャープがサムスンと業務提携して「サムスンに液晶パネル買ってもらえるぅ~!」と無邪気に喜ぶのはアリとしても、サムスンがシャープを買うというのは不思議な話なのだ(ここ頭に入れておいてね。あとで出てくるから)。

ただ、サムスンの出資金額はたったの100億円だし、まったくもって資本増強になどならない。だからやはりサムスンと業務提携して、仕事をもらって業績を回復させる算段なのか?と思うだろうが、先に述べたように、逆に安く買い叩かれるだけだ。

何度も言っているが、ホンハイとの提携はシャープにとって意味がある。ホンハイはセットメーカーなので、自社で部品メーカーを持つことは総合力の強化につながるということで、ホンハイはシャープにタダ同然で液晶を売れとは言わない。いや言ってきたとしても、少なくともその商品を本気で売る気はある。それこそシャープは安定的に仕事がもらえるのだ。だからホンハイなら株価で交渉されて出資額が300億になっても200億になっても将来の業績については回復が見込めるからよしとすればよいのだ。

さて、ではこのシャープとサムスンの不思議な提携の本当の中身はどういうものなのか。

ここで、「シャープの発表内容」の登場だ。マスコミ各社の報道は無視してね。シャープが何言ってるかがポイントなので。

サムスンがアップルとガチ戦う気がないのに、シャープを買ったということは、アップルがらみの液晶で提携したわけでも、サムスンが本気でシャープを買いに来たわけではないということだ。

シャープのリリースを見てみよう。
一見見逃してしまいそうだが、出資する主体は「サムスン電子ジャパン」だ。

え?本体じゃないのかよ!?ってなるでしょ。本気で買いに来るヤツが日本法人通じて出資するかよ、って話だ。でも、これでアップル様の逆鱗には触れないね。本気じゃないから。で、まずここでガクッとくる。

そして、もう1つ、サムスンに供給するとされる液晶パネルが、
「大型テレビ向け液晶パネル及びノートパソコン等モバイル機器向け中小型液晶パネル」
・・・って、えーーー???大型テレビとかノートパソコンって何?タブレットPCは?まあモバイルって書いてあるからアイフォンは入るのかもしれないけど。
お役所用語の「等」って入ってるからその他の液晶も入りますよ、って言いたいのかもしれないけど、普通は文面に供給する主力パネルをまず書くはずだから、やっぱりテレビとノートパソコン用ってことなのだ。

それって、シャープは自社のテレビが売れなくなったからサムスンのテレビにウチの液晶入れてね、って言ってるってことか?それとサムスンのノートPC用の液晶ってことか?

じゃあ、どっちにしてもただ買い叩かれるだけじゃん!
と、結局結論は同じだったのだが、つまりはそういうことだ。

では、なぜそんな提携をシャープは受け入れているのか?いや違う。受け入れているのではなかった。自分から闇雲におカネ出してー!と世界の企業に迫っていただけだ。

あるときはインテル、あるときはクアルコム(これは成功)、そしてあるときはサムスン・・・もうやたらめったら資本提携、業務提携の話を持ち込んでいた。おそらく片山さんが(想像ね)。

50億、100億の資本提携や、業績回復につながらない業務提携にシャープはなぜそんなに躍起にになるのか。

それは、銀行の追い貸し、または支援機構が入るでもどっちでもよいが、銀行なり政府なりがシャープにカネを突っ込む際の「お化粧」なのだろう。

「こんな立派な世界の企業と資本提携や業務提携をしているんだから潰せないでしょー。だからおカネ貸していいよねー(または税金使ってもいいよねー)」と銀行なり支援機構なりが言えるようにする、あと銀行ならシャープを「要注意先」に入れないため?の実績ってことだね。

つまりもう銀行も貸し込みすぎて手をひくことができないから(いつも言ってる通り)、銀行は潰さないようにさらに追い貸しをしないといけない状況になっているのだ。

だからたぶん銀行が貸して9月のCBも償還されるんだろう。もちろん支援機構でもよいが、それだとCB満額償還ってわけにはいかないだろうから、おそらくその前に銀行が手当てする。とりあえずこれで個人投資家からの借金は返せるので、その後シャープがどうなろうとそうそう問題にはならんだろう。

・・・って想像するにこんな感じ?

こうやってまた1つゾンビ企業が誕生するわけだ。

最後に恒例のCB価格を見てみると、前日比で3%以上、値上がりしている。利回りは27%くらい。当然株価も急上昇。10%以上あがっている。業績に期待なんだと。なんでかなー。これいいニュースだと思ってるのか?

 →やっぱり気になるシャープのCB価格(大和証券の週足チャート)

 

【関連サイト】
お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則
なぜあなたは出世できないのか?
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品ガイド
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

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