投資の教科書

株式投資20年の投資家が語る 絶対に知っておくべき投資の真実

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シャープ、米クアルコムに50億でIGZO売り飛ばし?

 


 シャープウォッチャーかなり久々の登場。前回同様、状況はあまり変わっていないが。いやむしろ悪くなったのか?

 昨日12/4に「シャープ(コード:6753)に米クアルコム(コード:QCOM)が最大99億円出資し、IGZO搭載の次世代パネルを共同開発」との・・・いや「シャープが米クアルコムに50億でIGZOを売っ払った」との発表があったので、一言。

 さて、最初になぜ50億と言い換えたかというと、来年の3月末に(下期)黒字なんて無理だから。

 なんだか知らないが、この99億の出資は2分割らしく、49億円の払い込みが12月末、残りは条件付で来年3月末なのだそうだ。その条件とやらには色々あるが、下期営業黒字なんていうのも入っている。

 そんなの無理だろうということで、一応正式に12月27日払い込みと期日が決まっている49億だけと想像して50億と言い換えた。

シャープとクアルコムの提携っていい話か?

 で、この報道を受けて株価もCB価格も上昇したが、そんなにいい話か?だって、あんなに技術の流出がイヤだと言っていたのに50億でIGZOを売り飛ばしたようなものなんだぞ。ホンハイ(鴻海、コード:2317.TW)はダメでアメリカのクアルコムならいいのか?

 そもそもなぜクアルコムなのか。デバイスメーカー同士で出資してどうするんだ?

 セットメーカー1(工場を持たないセットメーカー:アップルなど)の下にセットメーカー2(工場を持ち、セットメーカー1に製品を納入:ホンハイなど)、その下にデバイスメーカー(部品メーカー各社:シャープとクアルコムはここ)がくる、というヒエラルキーの中で、出資や提携なんて関係が成り立つのは上下のラインだけだ。

 だからホンハイがシャープを買いに来るのはわかる。しかし、同じ会社に製品を卸しているだけの何の関係もない液晶パネルと半導体というデバイスメーカー同士が組んでどうなるんだ?

 もちろんクアルコムも子会社でディスプレイを作っているから、そこで共同開発という話らしいが、同じディスプレイ屋ならなお更チョコッと出資して共同開発なんて意味不明だ。で、50億でIGZOの技術を掻っ攫うだけじゃないか、と思うわけだ。

 それともう1つ。そもそも50億ではシャープを助ける出資にはならない。前回言ったようにシャープの製品を買ってくれる関係なら金額はどうでもよいがそれもない。それどころか内実は50億の受託研究。つまり単発の50億の仕事だ。で、その過程でIGZOが流れ出て行く。

 なので、これはもうシャープの経営再建とは関係ない話で、且つ全然いい話ではない。

 まあ今回唯一いいことがあるとすれば、1回目の払い込みは確実に行われるだろうということだ。そこはホンハイのときとは違う。何しろ、ホンハイのときは払い込み期日が明確に定められていなかったしね。

 でも、今回50億でIGZO売り飛ばしという真実を交渉した本人(なぜかどさくさに紛れて復活していた片山氏)は分かっているのだろうか。ホンハイの出資を取り付けてきたときもそうなのだが、まともに交渉ができているのかちょっと疑問だ。

 ホンハイのときはホンハイのときで、払い込み期日も定まっていない契約でまともに話をしてきたつもりだったのだろうか。挙句の果てにまだ払い込みはされずに(来年3月までという契約ではあるが)、途中で株価を下げろと再交渉される始末だ。

 当時は堺工場を買ってもらえば連結対象から外れ、赤字を計上しなくて済むから、それを飲ませたことで交渉に勝ったとでも思ったのかもしれない。ホンハイが本当に欲しいのは経営権だろうから、徐々に詰める気だったろうに、そんなこと想像もせずにだ。

 今回のクアルコムについても出資する意味がない提携なのにクアルコムが飲むということは、向こうに相当有利な「何か」があるはずだ。でもシャープ側は「IGZO」の価値が認められ・・・などと能天気なことを言っている。

 どちらも負けの交渉を勝ちだとすら思っていた(いる)フシがありそうで、かなり痛い。

 それに今片山氏は出資先探しに闇雲にアメリカを飛び回っているようだが、クアルコムをはじめとして、インテルやHPなど出資先とされている企業もなんでここ?というところばかりだ。先に述べたようにセットメーカーのアップルはありだが。

闇雲に提携話を持ってくるのは銀行へのアピール?それとも支援機構?

 ということで、なんかこう、何もかも間違っているような気がするのだが・・・。もし、片山氏がそれをわかってないのなら、誰か言ってあげたほうがいいよ。コンサルも入っているようだし。

 あ、いや、コンサルってのは、1回は意見を言うだろうが本人が聞かなければそれまでだ。たとえば、今回のクアルコムの話なら「デバイスメーカー同士の提携というのはちょっと・・・」とか言ったかもしれない。

 でもクライアントから気に入られなければクビになっちゃうから、会社が潰れようが最終的にはクライアントが気に入ることを言うよね。とういことで、本人が気付かなければ終わりだ。ってわかってやってたらゴメンナサイ。

 じゃあ、わかってやってるとしたら、意図は何だろう。銀行への言い訳か?「業績が上がるように今頑張ってるんで。」と、それこそ交渉の材料としてこういう提携話がたくさんあるよ、と持って行きたい。だから数打っているってことか?

 でも、どんなに数を打とうと経営再建につながらんもんはつながらんのよ。いい加減、ホンハイの話飲んだほうがいいんじゃないかねえ。

 と、そうこうするうちにホンハイはいなくなっていて、気付いたらそこには支援機構が立っていた、なんてことにならないようにしようね。って実はそれが狙い?片山さん


【関連サイト】
お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則
なぜあなたは出世できないのか?
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品ガイド
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

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