投資の教科書

株式投資20年の投資家が語る 絶対に知っておくべき投資の真実

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今日はシャープの中間決算発表日。でもテーマはパナ。

 


シャープの中間決算は、ほぼ事前に漏れた情報通り4000億の赤字

 さてさて、今日11/1はシャープの中間決算の発表日だ。日経のフライングとその他新聞社の後追いなどで、数字は1週間前に出てしまっていたが・・・

 さきほど15:00に発表された情報では、1週間前に出た数字とほぼ同じ。本当だったんだね(当たり前か。まあ細かい内訳は各社まちまちだっため少し違っていたが、たいした話ではない)。

 一応、前回(続:シャープが倒産するかどうかは銀行次第?(前編))で書いた1週間前の数字と、今日発表された数字を書いておくと、ザッとこんな感じ。(→以下が今日11/1発表の「本当の」数字)

◎8月に700億の赤字(4月発表)から2100億の赤字に修正したが、結局その2倍の4000億になりました、ということだ(これで通期は4500億と想像可)。
→11/1発表では3900億の赤字。通期予想は4500億の赤字。

○売上(1兆1000億)と営業利益(1300億の赤字)は、8月時点の予想とほぼ同じとのことだ。
→11/1発表では、売上1兆1000億、営業利益1700億円の赤字。営業赤字はもうちょっと大きかったのだね。

○主な赤字の積み上げ理由は、液晶パネルの在庫。これで1000億近くいくらしい。
→11/1発表では「大型」液晶パネルの在庫の評価損が500億。この他に「中小型」液晶と電子デバイスの評価損で300億。

◎繰延税金資産(2012年3月末時点には純額で700億ほどあった)の取り崩しが600億。
→11/1発表の数字も600億

◎太陽電池事業の設備の減損処理で300億。
→11/1発表の数字も300億

 それにしても、今日の15:00になればわかるものを、マスコミたちは1週間前に鬼の首をとったように発表したり、今日も11:00くらいに発表したりと、一体何をやってんだか。何の意味があるのだろうね。まあ、ここでも取り上げさせてはもらったが。

 と、シャープネタはこれくらいにして、同じ経営危機つながり?のパナソニックの話を。昨日10/31に中間決算の発表もあったことだしね。

パナソニックは中間期7000億の赤字

 パナソニックの決算発表だが、中間期は6851億の赤字。前回予想が150億の「黒字」だったから、もう予想なんてしなくていいよ、ってくらいの数字だ。

 収益の悪化で繰延税金資産の取り崩しが4125億、三洋電機ののれん代の減損が2378億。これでこの大赤字をたたき出した。

 結果、13年3月期通期予想は(もう予想なんてどうでもいいか?)、7650億の赤字になるそうだ。

 ただし、営業利益は中間期でほぼ予想通りの約900億の黒字、通期予想でも下方修正されているとはいえ、1400億円の黒字だ。

 とりあえず営業黒字が出ているので、日々の本業の部分はなんとか大丈夫そうだ。ということで、シャープほど危機的な状況ではない。

三洋事業の減損処理が問題

 しかし、問題なのは、巨額赤字のかなりの部分が三洋事業の減損処理だという点が問題だ。金額が繰延税金資産の取り崩しより小さいからって見過ごしてはいけない。

 要するに、三洋を買ってなければ、こうはなってないだろうということだ。買収が明らかに失敗だっということだ。この事実を認めて、それを受けてこれからパナはどうするのかが示されないと、パナのこれからの成長はないと考えるのが真っ当な投資家だろう。

 なぜこんなことを言うのかというと、三洋の買収劇というのは、戦略なき日本企業の経営実態を如実に表した事例だからだ。

 というのは・・・多くの人は忘れてしまっているかもしれないが、パナと三洋はもともと同じ会社だ。松下幸之助の嫁の弟、井植歳男が揉めて飛び出して作ったのが三洋だ。

 しかもパナと三洋というのは、分離したとはいっても典型的なムラ社会企業で、こんな話がある。

 三洋の創業者、井植歳男はパナを辞めた後もパナが新製品を出すと、工場にフラッとやってきては、社員に「どれが新製品や?」と聞いた。社員はこれこれです、などと簡単に教えてしまっていたそうだ。何しろ元部下だから。

 で、井植歳男は「ほな、一台もらってくでー」といって新製品を一台持って帰り、コピーして安く売る。三洋はこんな風にして育ってきた会社だ。

 三洋買収時、パナはサラリーマン企業でも、三洋はオーナー一族が仕切っていた。それが倒れそうになりパナに買ってくれと頼んできたら、パナのサラリーマン経営者は断れない。で、パナは三洋を丸ごと買った。経営判断でも何でもない。

 元々一緒だった会社が勝手に傾きまた親会社に戻ってきただけなんてのは、M&Aでも何でもない。

 三洋の買収は古い日本のムラ社会の体質を完全にひきずったいい例で、結局パナは変わっていない。

 鳴り物入りで登場したグローバル採用(グローバルチャレンジャー!)なんていうのがあるが、実態は違うらしく、国内のドブ板営業ばかりやらされているらしい。名前はパナに変わっても、松下電器の時代と何ら変わらないのかもしれない。

 とりあえず今回の赤字で自己資本は大きく減るが、まだ2割はある。しかし、これ以上赤字をブチこいたら、危険水域に入り、シャープの後ろ姿も見えてくる。

 シャープは三途の川を渡っているが、パナはまだ陸の上にいる。
 パナは本業が黒字なのは救いだが、三洋の減損を出し切ったとは限らない。今回小出しにしていないことを祈るばかりだが、もし今後も出るとすると、増資をするか本業で利益を上げねばならない。で、リストラ。こんな負のスパイラルに陥ることもあるわけだ。

 こんな風に、膿が出きっていない可能性もあり、まだまだこの銘柄は買えない。

 そういえば、パナソニックはルネサスに出資をするらしいが(→ルネサス2000億ゲット!でもちょっと延命するだけだよ)、こんなに赤字が出ているのに他人を助けている場合か?

 

【関連サイト】
お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則
なぜあなたは出世できないのか?
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品ガイド
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

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