投資の教科書

株式投資20年の投資家が語る 絶対に知っておくべき投資の真実

*

シャープが倒産するかどうかは銀行次第?(後編)

 

 前回は、シャープがオロオロして当事者能力がなくても、銀行はとりあえず2000億円の追い貸しを決めてひとまず安心、ということころまで述べた。今回はその続き。

銀行はとにかく貸しまくればよい
 銀行は今のところまともそうでよかったが、まあ、本来ならばシャープは飛ぶ会社ではないので、資金繰りのためのカネなど必要ならいくらでも貸せばよい。ここでビクついて貸さなかったら本当に飛んでしまう。これからも貸しまくればよいのだ。ただ、「今回は、いままでと違って担保をとる」・・・って、今の今までこんなになるまで無担保で貸してたのかよ!と銀行の適当さ・無能さにはやはり呆れる。

 「本来ならばシャープは飛ぶ会社ではない」というのは、以前も言ったように、リストラ、資産の切り売り、下請けに徹する、など打つ手は色々あるからだ。それさえすれば、という条件付で倒産などしない会社ということだ。

 ただ、本来倒産しない会社でも、銀行が貸さなくなれば資金ショートを起こして倒産してしまう。これは金融パニック、銀行の取り付け騒ぎと同じ原理だ。フタをあけてみれば損失は少なく銀行が倒産するような事態ではないのに、「倒産しそうだ」となると顧客が一斉に預金を引き出そうとして、銀行のカネが底をつき、銀行もその銀行の取引企業も連鎖的に倒産する。これと同じだ。

銀行はとにかくシャープのケツを叩く
 シャープがこのまま手を打たず放っておいたら倒産しても仕方がない。だから前述のように手は打たねばならない。ホンハイとの提携はその1つだ。ただ、今すぐ倒産するかどうかという話とは直接は関係ない。長期的に、業績を回復させてくれる、無駄に投資してしまった設備を活用できるという意味合いでとても重要なのだ。

 今後何も仕事がないような状況では銀行はこれまでの融資の回収ができないし、当然追い貸しなどしている場合ではない。が、長期的な道筋が描ければ貸しやすい。また、今まで融資している5000億をドブに捨てるわけにはいかず、なんとしてもシャープのケツを叩いて立て直さなければならない。他に稼ぐ方法があるなら、別にホンハイでなくてもよいのだが、今唯一の食扶ちがホンハイなのだから、確実に提携させないといけない。

手ぶらでテリー・ゴウに会いに行くな
 大リストラについては、1万人削減案が出てきて少しは進んでいるように見える。が、ホンハイとの関係においては、銀行の目配りが足りなかったのか、シャープはここへきてテリー・ゴウがブチ切れるような失態を犯した。今週、奥田社長が慌ててテリー・ゴウを追いかけていくようだが、その場しのぎでただ手ぶらで行かせるのだけは絶対やめてほしい。

 いや、もしかしたらとっくに「代表権のない」町田相談役と片山会長が台湾入りして話をつけているかもしれない(一体この会社の経営者は誰なのか?)。

 ただ、ここまで結論を引っ張ってシャープ(の従業員)にとってよい条件で決着するわけもなく、それこそ最もイヤだった下請けどころかタダ同然で丸ごと乗っ取られるなんてこともなくはない。

 交渉もできないくせにウダウダやっていると決まって最悪の結果になる。ただ、投資家にとっては、会社が残り株価が上がり、債券が無事返ってくればよいだけなので、それこそ従業員がイヤがる結論になろうが知ったことではない。

プラズマクラスターで生き残る?
 あ、ちょっと言っておくと、「プラズマクラスター」があればシャープは生き残れるぜ!と思っている人、それは少しは合っている。唯一利益の出ている商品だ。筆者もプラズマクラスターの大ファンで大人買いをした。

 でもプラズマクラスターで生き残るとしたら、従業員を5万人は切らないといけないよ。5~6千人いれば十分なのだ。というか5~6千人食わすのがやっとだ。というのは、プラズマクラスターで生き残るというのは、ダイソンのように高付加価値商品で食うという発想なのだろうから、そのダイソンを見てみればよい。

 ダイソンは1000億の売上で300億円の営業利益。でもって従業員はおそらく2000人ほどだ。プラズマクラスターはザックリと3000億円の売上で300億円の営業利益(利益率はダイソンの1/3かよ)。売上ベースで見てあげても6000人しか要らない。利益ベースなら2000人でよいということになる。

経営者まるごと外国人?
 さて、話はそれたが、銀行がシャープと心中する覚悟で貸しまくっておけば今倒産することはないのだから、あとは貸すための条件をゴリゴリと詰めればよいのだ。シャープに当事者能力はもはやなさそうなので、リストラして経営者をまるごと外国人にするとかね。優秀な日本人も少しはいるので、それでもよい。そうすればこれからも倒産はしないだろう。

 ということで、結局今シャープを生かすも殺すも銀行次第ということになるのだが、少し気になるのは、落ちた魚を叩くことしか能力がないマスコミが、寄ってたかって倒産するかのように言っていることだ。銀行が結構賢くてシャープに圧力をかけるために書かせているだけならよいのだが、そうでないなら目も当てられない。こんなものに乗っかって銀行がパニックを起こしたら大変だ。本当に潰れてしまう。

シャープを生かすも殺すも銀行次第、というのは本質的にはウソ
 ただ、最後に本質的な話をすれば、シャープを潰すのは日本人そのものなので、シャープの経営陣や銀行のせいにしちゃあいけない。さっきも言ったが、これを読んで「何言ってんだコイツ?」と不愉快になった人、まさにあなたがシャープを潰す張本人なのだ。って言っても意味わかんないんだろうなあ。

【関連サイト】
お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則
なぜあなたは出世できないのか?
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品ガイド
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

  関連記事

chart01
不可解な金利の低下。どちらかが間違っている!

 前回投稿から、かなりの時間が経ってしまった。この間、ただ寝ていたわけではない。 …

no image
CB利回り20%のシャープは倒産か(前編)

 前回、リスクの話をしたが、そのリスク、特に信用リスクについて身近に感じることが …

tore
ボーイングと長期契約を獲得した東レに注目

 合成繊維大手の東レが、米ボーイング社から航空機向け炭素繊維複合材の長期契約を獲 …

no image
投資理論なんかクソ食らえ

 前回の卵の話に関連して、投資理論の話をしよう。「卵は1つの籠に盛るな」というリ …

no image
なぜ住宅ローンを組んではいけないと言われるのか(中編)

 前回の続きで、頭金300万円と2700万円の借入で3000万円の住宅ローンを組 …

no image
リスクは取れ。ただし原則1つだけ。

 前回までの話と少し重複するが、現在の状況でも経済理論でも何でも単純化すべきとい …

no image
シャープ、ゾンビ化決定

今回はさすがに登場しなくちゃだめでしょ、シャープウォッチャー。 気が短いので、先 …

no image
アメリカがひきこもると日本は中国のものになる?!(3)

  前回の続き。といってもだいぶ間が開いてしまったので、  アメリカがひきこもる …

no image
投資の世界が胡散臭く見えてしまうワケ(前編)

 以前、投資はギャンブルとは本質的に違うことを述べた。これでギャンブルのイメージ …

no image
リスクも色々あるが

 株はギャンブルなのか?の回で、リスクはリターンのブレであり、リスクが高い=ブレ …