投資の教科書

株式投資20年の投資家が語る 絶対に知っておくべき投資の真実

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投資の世界が胡散臭く見えてしまうワケ(後編)

 

 投資理論というのは、何度も言うように絶対的なものではなく、1つの考え方と言ってよい。ただ、部分的には検証されているため「信者」も多い。一方、前回述べたように、言っていることはわかっても、投資で儲けるという視点で見ると役に立たないと感じてしまうのも事実だ。

 そこでアンチ投資理論が登場する。投資理論では、市場には情報がすべて瞬時に行渡り、投資家は合理的に動くものと考えるが、これに異を唱える者は市場も投資家もそんなに合理的ではないと考える。

実際には市場も投資家も合理的ではない
 情報が瞬時に行渡らないからこそ、その隙をついて儲けることができるし、投資家も合理的ではないからこそ、割安な株が放置されたままのこともある、というわけだ。

 確かに、株価というのは理屈では理解できない値動きをすることがある。また、投資家の心理に左右されている面も大いにある。

 例えばリーマンショックのように市場がパニックになれば、必要以上に(株の理論的価値をはるかに下回るところまで)たたき売られるし、逆にバブルに沸けば必要以上に買い進まれ異常なまでの高値になる。ネット企業といえば、なんでもバカ高い株価が付いたこともある。

 ちなみに筆者はリーマンショック直後に「さすがに売られすぎだろ」と思って買った銘柄が2倍になった経験もあれば、ネットバブル崩壊の直後には資産が半分になったこともある。

 今なら、ここでも何度も取り上げているシャープのCBなどは売られすぎかもしれない。もちろん後になってみないとわからないが。

理屈に合わない株価がついている銘柄を探すには?
 このように、実際に起きている現象はまさに非合理的だ。だから、投資家も市場も常に合理的ではないと考えるアンチ投資理論派は、投資で儲けるには、合理的な動きをしていない銘柄を探し出せば儲けられるのだと考える。

 なんとなく筋が通っていて説得力があるような気がする。では、アンチ投資理論派の「値動きが合理的でない銘柄を探し出す」方法とはどんなものなのか。

 彼らの手法は主に2つ。1つは、企業業績や財務状態などから理論的な株価をはじき出し実際の株価とのズレを見つけ出す方法、もう1つは投資家の心理を読もうとする方法である。前者はファンダメンタル(厳密に言うとファンダメンタルの中のひとつの要素)、後者はテクニカルと呼ばれる。

ファンダメンタル投資とテクニカル投資
 ファンダメンタル投資においては、企業業績や財務状態などから理論的な株価をはじき出すと述べたが、ここで使われるのが財務指標、株価指標などとよばれる各種指標だ。

 基本的な指標に、PER、PBRなどがある。これは1株あたりの利益や資産を出し、その何倍の株価が付いているかを見るものだ。倍率が高いと買われすぎているし、低いと売られすぎていると判断する。これだけでなんとなく「そうか、なるほどねー」と納得してしまう。

 テクニカル投資においてはチャートが命だ。チャートと言っても色々な用い方があり、投資家の心理を表す指標を用いる者もいれば、株価のトレンドを示す指標を用いる者もいる。ここでも指標という言葉が出てきたが、このチャート絡みの指標はテクニカル指標とよばれる。そして、極めつけは株価チャートの形状から次の動きを予測する手法だ。

 投資家の心理を読む指標というのは、最もわかりやすいものではRSIが挙げられる。値上がり・値下がりの日数と値幅などを用いて数値化したものだ。あまりにも値上がりが続いた・値上がりしすぎたから、そろそろ売るヤツも出てくるだろう、という考えに基づいた指標だ。つまりこれは、投資家の心理から「売られすぎ・買われすぎ」が転換するタイミングを予想しているわけだ。

 株価のトレンドを示す指標の代表的かつ基本的なものには移動平均線がある。過去の一定期間の株価の平均をとってグラフにしたものだ。期間の異なる2つの移動平均線を比較したり、現在の株価と比較したりして今後の傾向を予測する。

 そして、株価チャート(ローソク足)の形状を見て、次の値動きを予測する方法だが、酒田五法がその代表だ。たとえば、ローソク足とローソク足の間に空間(空とか窓とか言うらしい)を作りながら値下がり(値上がり)し続けた場合、次は上がる(下がる)などと予測する。

 ちなみに酒田五法では、窓空きが三回連続で三空(さんくう)と呼ぶ。ちょっと言葉使いがマニアックでいかにも怪しげではあるが、これも結局、投資家の心理がチャートの形に表れていると考えているわけで、前述のテクニカル分析と重なる部分は多い。

 ということで、最後の1つには少々怪しげな雰囲気があるものの、投資理論よりもだいぶ使えそうな気がする。しかし、なぜ胡散臭さがぬぐえないのか?それはバッサリ言ってしまうと、やっぱり「儲からない」から。厳密に言うと、「多くの人が」儲からないから。

 考えてみれば、テクニカル投資などは過去のデータの後追いでしかない。これまでの傾向を調べました。と言うだけなら、なるほどその通りだ。だから予測に使うのもわからないでもないが、あとは当たるか当たらないかに賭けるだけの話だ。

 ただし、大儲けしている著名な投資家はほとんどこの中にいると言ってよい。「多くの人」が儲からない、と言ったのはそのためだ。儲かる人もいるにはいるのだが、その他大勢は玉砕してしまうのだ。成功した人はこの手法で勝つ才能があった、コインの表が出続けるほど運がよい人としか言いようがない。

 これじゃ、やっぱり投資なんかできないよ、という結論になってしまいそうだが、そんなことはない。じゃあ、何をすればよいか。それは・・・これからも読んでねー、ということで。

【関連サイト】
お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則
なぜあなたは出世できないのか?
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品ガイド
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

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