シャープのCBと同じ「利回り20%」の投信ってのはどうなんだ?!(後編)
前回の続きで高利回りのタコ足配当の投信について。
普通に考えれば、今どき20%の利回りはありえない。しかし、この投信はなぜか毎月毎月分配金をくれる。これをどう考えればよいか。
まず、毎月分配金を出せば、よほど運用益が出ていなければ総資産は減っていく一方だ。だからまず資産が減っていなければよい。そしてこれらの投信の資産額はここ数年は増えている(ただし、過去には激減していたこともある)。今増えているということで安心してしまいそうだが、資産が減らない理由には、運用成績がよい以外にもう1つある。新しい客がどんどん入ってくることだ。そうすれば絶対額は増える。
だったら次はどうするか。今度は全体の口数で割った基準価額を見る。これが減っていれば疑ったほうがよい。基準価額以外にも配当を含んだ基準価額など一口の値段にも色々あるようだが、とりあえず基準価額を見る。解約したら戻ってくるのはこの価格なのだから。
タコ足ファンドは詐欺ではない
さて、ではこの毎月分配型の投信は詐欺なのか?というと、詐欺ではない。金融庁様のお墨付きの商品だからだ。それでも詐欺だというのなら国もグルということになる。その観点の話は置いておいて、この投信を売っている投信会社は詐欺なのかというと法律上は詐欺ではないのだ。
投信会社はちゃんと「タコ足ですよ」と言っている
投信会社はタコ足配当しますよ、とあらかじめキチンと説明している。下記は2つの毎月分配型投信の商品情報ページだ(広告ではない)。
フィデリティ投信「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」
国際投信投資顧問「ワールド・リート・オープン(毎月決算型)」
フィデリティは「その他のファンド概要」欄、国際は「ファンドの目的・特色」欄に、「収益分配金に関する留意事項」というリンクがある。これをクリックすると、そこには「分配金の全部が元本の一部払い戻しに該当する場合」と書かれている。つまりタコ足配当しますよ、ということが図表まで使ってわかりやすく?説明されているのだ。
なぜ買った(買う)のかが問題
ただ、あくまでもタコ足をする可能性があると言っているだけあり、本当にタコ足をしたかどうかは計算してみないとわからない。しかし、あらかじめ説明はしている。なので買った人はわかっているはず、ということなのだ。
彼らは詐欺じゃないんだよ、と庇っているのではない。このような投信をなぜ買った(買う)のか?そして騙されたと思うのか?
一応説明書を読むなりして、タコ足の可能性があることはわかっていても「本当はそんなことしないだろう」と思って買った人は、見誤った自分が悪い。そしてその自覚もあるだろう。
しかしマズイのがわからないまま買った人だ。こんなおいしい商品があると思ったのだろうか。少なくとも自分にそんな商品が回ってくると思ったのか。
貧乏人においしい話は回ってこない
ハッキリ言う。おいしい話はない。いや、おいしい話はないのではなく、あるのだが貧乏人には普通回ってこない。金持ちには20%の利回りの投資機会もあるにはある。が、貧乏人にはその機会はほとんどない。
悲しい?現実だが、金儲けは金持ちに有利にできている。だから何としてもまず金持ちにならないといけない。そして金持ちになる方法は、2つ。運のよい人間に生まれるか、リスクをとるかだ。
あなたは運のよい人か?くじ運でも人生を振り返ってでも何でもよい。もし、自分は強運だと思うならイチゼロの商品に全突っ込みしてみればよい。商品は何でもいい。いや事業を始めてもいい。運がよければ大当たりするはずだ。
運がよいかどうかわからない、あるいは運がよいと思いたい人も同じだ。運がよいかどうかは、投資をしてみれば結構すぐわかる。なけなしの金を自分のピンきたとき、くるものに投資してみるとよい。時期と商品どちらも大事なので、ピンと来ないなら投資してはいけない。当然その判断は自分でするのだが。
ここでそれなりの結果が出ないのなら、やはり運がないのだとあきらめなければいけない。そして、たいていの人は少なくとも強運ではない。つまり、お金持ちになるにはリスクを取る以外にない。その自覚を持つことからはじめないと投資はうまくいかないのだ。
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「なぜあなたは出世できないのか?」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品ガイド」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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